| メイン |
罪の受け継ぎ
2003年12月28日氷点という小説がある。
私の好きな三浦綾子のベストセラー小説だ。
この小説のテーマは原罪。
人間が生まれながらに持つ罪の性質。
キリスト教的には、アダムとイブが神に背いたときから、人間の罪が始まる。
その子孫がみな罪を生まれながらに持って生きることになる。
では、悪いことをしてないのに罪人なのか?生まれたばかりで善悪の知識もない赤ん坊にも罪があるというのはどういうことだ・・ということになる。
氷点の中では、夏江は娘を殺され、変わりに陽子を養女として大切に育てる。が、その陽子が我が娘を殺した犯人の子供だと知り、徐々に陽子を憎み、すくすく育つ美しい陽子に嫉妬するようになる。
陽子は、なぜ夏江が自分を憎むのかわからないけれど、自分さえ正しい人間であれば、どんな嫌がらせも、苦しみも越えて、胸を張って生きれる、という信念の元に、明るく生き続ける。
しかし自分が、殺人者の娘だと知り、陽子は
自分には汚い不正な血が流れていることを悲しみ、もう胸を張って生きられないと絶望して自殺しようとするのだ。
私はずっと、陽子の、この気持ちが理解出来なかった。親が殺人犯でも、陽子は殺人犯じゃないのだ。
なのになぜ、陽子は生きる希望をなくすのか・・私はずっとわからなかった。
でも、血を受け継ぐことは、単純なものではない。
カエルの子はカエルなのだ。
親の犯した間違いは、子供の間違いになり、そのまた子供に受け継がれる。
たとえば親が麻薬中毒になる。
「自分はそんな大人には絶対ならない」と子供は思いながら生きるだろう、でも人生の岐路に立って
ふと我に返ると「所詮自分は薬中人間の子供だ、
自分もまたその程度の人間だ」と自暴自棄のさなかで、その子もまた薬に手を出すかも知れない。
これが血を受け継ぐ、と言うことなのではないだろうか。
最初に薬に手を出し、悪い見本となった親が悪いのか、親の不正のせいにして、自分に負けた子供が弱いのか、それはわからないけれど、
親が過去に犯した過ちが子供の人生のつまづきとなったのは事実である。
自分の軽はずみな行動がその後の誰かの人生を左右する事もある。
「私の問題だ、誰にも迷惑かけてない。
私が何をしようと私の勝手だ。」
本当にそうだろうか。
運命というものは本当に恐ろしく
予期せぬ方向へ導いていくものなのだ。
とくに、子供の人生を大きく変える。
そう思うと、私は子孫を残すことは
罪のように感じた。
罪を犯した人間が生む子は、また罪人なのだ。
自分の犯した過ちが、子供の人生を呪うこともあるのだ。
一生、ひとりでひっそりと生きる以外に、
人に迷惑をかけない手段はない。
人間にそれが可能だろうか。
答えはまだ出ない。
私の好きな三浦綾子のベストセラー小説だ。
この小説のテーマは原罪。
人間が生まれながらに持つ罪の性質。
キリスト教的には、アダムとイブが神に背いたときから、人間の罪が始まる。
その子孫がみな罪を生まれながらに持って生きることになる。
では、悪いことをしてないのに罪人なのか?生まれたばかりで善悪の知識もない赤ん坊にも罪があるというのはどういうことだ・・ということになる。
氷点の中では、夏江は娘を殺され、変わりに陽子を養女として大切に育てる。が、その陽子が我が娘を殺した犯人の子供だと知り、徐々に陽子を憎み、すくすく育つ美しい陽子に嫉妬するようになる。
陽子は、なぜ夏江が自分を憎むのかわからないけれど、自分さえ正しい人間であれば、どんな嫌がらせも、苦しみも越えて、胸を張って生きれる、という信念の元に、明るく生き続ける。
しかし自分が、殺人者の娘だと知り、陽子は
自分には汚い不正な血が流れていることを悲しみ、もう胸を張って生きられないと絶望して自殺しようとするのだ。
私はずっと、陽子の、この気持ちが理解出来なかった。親が殺人犯でも、陽子は殺人犯じゃないのだ。
なのになぜ、陽子は生きる希望をなくすのか・・私はずっとわからなかった。
でも、血を受け継ぐことは、単純なものではない。
カエルの子はカエルなのだ。
親の犯した間違いは、子供の間違いになり、そのまた子供に受け継がれる。
たとえば親が麻薬中毒になる。
「自分はそんな大人には絶対ならない」と子供は思いながら生きるだろう、でも人生の岐路に立って
ふと我に返ると「所詮自分は薬中人間の子供だ、
自分もまたその程度の人間だ」と自暴自棄のさなかで、その子もまた薬に手を出すかも知れない。
これが血を受け継ぐ、と言うことなのではないだろうか。
最初に薬に手を出し、悪い見本となった親が悪いのか、親の不正のせいにして、自分に負けた子供が弱いのか、それはわからないけれど、
親が過去に犯した過ちが子供の人生のつまづきとなったのは事実である。
自分の軽はずみな行動がその後の誰かの人生を左右する事もある。
「私の問題だ、誰にも迷惑かけてない。
私が何をしようと私の勝手だ。」
本当にそうだろうか。
運命というものは本当に恐ろしく
予期せぬ方向へ導いていくものなのだ。
とくに、子供の人生を大きく変える。
そう思うと、私は子孫を残すことは
罪のように感じた。
罪を犯した人間が生む子は、また罪人なのだ。
自分の犯した過ちが、子供の人生を呪うこともあるのだ。
一生、ひとりでひっそりと生きる以外に、
人に迷惑をかけない手段はない。
人間にそれが可能だろうか。
答えはまだ出ない。
| メイン |
コメント